安全運転のために

令和7年1月30日

イタリアの交通ルールや道路事情は日本と異なります。安全運転のために知っておくべき交通制度、基本的なルール、事故時の対応方法について主な点を以下に記載しますので、参考にしてください。

 

1. イタリアの交通制度

イタリアは、標識標示主義(道路標識や道路標示に従う義務)を採用しており、標識自体も日本人にとって理解しやすいものが多くあります。また、交通違反の確認方法として、警察官の現認に加え、オービスのような速度違反の自動取締装置による確認も認められています。
2003 年7 月から運転免許に関する点数制度が導入されており、イタリアの運転免許を所持している全てのドライバーに適用されます。
交通違反をした場合、各運転手に割り当てられた点数(初期点数は20 点。無違反が続く場合は最高30 点まで増加)から、違反の種類に応じた点数が減点され、持ち点数が0 点になった場合、再試験(revisione della patente)を受ける義務が生じます。再試験を受け ない場合や不合格の場合、免許は無期限停止(sospensione a tempo indeterminato)されます。なお、イタリアで初めての運転免許取得者は、取得後3 年間は減点が2 倍になります。
日本の運転免許及び国際運転免許証を使用する場合、イタリアの点数制度には直接影響されませんが、交通違反を犯した場合には罰金等が課せられることがあります。また、長期滞在でイタリアの運転免許に切り替える際には、点数制度が適用されることになります。詳しくはイタリア政府の案内をご覧ください。

 

2. イタリアの主な交通ルール

  1. 右側通行
  2. イタリアでは車両は右側通行で日本と逆のため、特に右折・左折の際に注意が必要です。

  3. 優先通行権(右方優先)
  4. 信号機や標識等のない交差点は、自車から見て右方から進入する車両が優先です。
    ロータリーでは多くの場合、円内の走行車両優先の標識・標示がありますが、ない場合は一般的な優先ルールに従い右方から進入する車両が優先となります。

  5. 乗車定員・シートベルト・チャイルドシート
  6. 乗車定員には乳幼児も含まれます。また、シートベルトは前後部座席とも着用義務があります。チャイルドシートは、原則として12 歳未満で身長150cm 以下の子どもに使用が義務づけられています。

  7. 灯火
  8. 市街地外の道路では、昼間でもヘッドライト(ロービーム)の点灯が義務付けられています。また、急停止・急減速の際にはハザードランプの使用が義務となっています(日本のようにお礼のサインとしてハザードランプを使用することは、誤解を招くおそれがあるため控えてください)。

  9. 交通信号・踏切
  10. 黄色信号では、停止線を越えていない場合は停止する義務があります。
    遮断機のない踏切では一時停止の義務はなく、安全確認のみ必要です。

  11. 追越し・転回
  12. 中央線が実線又は二重実線の場合、追越しは禁止されています。
    橋の上や見通しの悪い場所、信号機のある交差点等での転回も禁止されています。

  13. 駐車禁止標識
  14. 市街地で駐車禁止標識がある場合、特記がなければ午前8 時~午後8 時の間が駐車禁止時間です。駐車中はエンジン停止が義務付けられています。

  15. 蛍光服の着用義務
  16. 高速道路上で故障等により車外に出る場合、蛍光ジャケットの着用が義務です。

  17. 速度規制
  18. 市街地:50km/h
    2級道路(市街地外):90km/h
    1級道路(主要幹線道路):110km/h ※免許取得後3年未満の者は90km/h
    高速道路:130km/h ※免許取得後3年未満の者110km/h
    その他、住宅地や雨天時の速度制限、大型車両や牽引車に対する速度制限等があります。

  19. 飲酒運転規制
  20. イタリアでも飲酒運転に厳しい規制があり、血中アルコール濃度(BAC)が0.5g/L を超えると違反となります(日本は0.3g/L)。新規運転免許取得者や若年運転者(21 歳未満)、職業ドライバーにはより厳しい基準が適用されます。規定を超えるアルコール濃度で運転した場合、罰金や免許停止、車両押収、場合によっては刑事責任が問われます。少量の飲酒でも基準を超える可能性があり、飲酒後の運転は注意力や反応速度に影響を及ぼして重大な事故の原因となるため、避けてください。
 

3. 交通事故発生時の対応

  1. 停止義務
  2. 事故に関与した場合、車両の接触がなくても必ず停車し、現場を離れないでください。現場を離れることは違法であり、特に人身事故の場合は重い罰則が科されることがあります。

  3. 救護義務
  4. 負傷者がいる場合は、直ちに救護を行い、警察(112 又は113)へ通報し、必要に応じて救急車(118)の要請を行います。

  5. 安全確保
  6. 必要に応じてハザードランプや三角表示板等を使用し、他の車両に注意を促します。事故によって交通の障害物がある場合は、可能な範囲で安全な場所に移動させ、二次事故を防止します。

  7. 警察への通報
  8. 人身事故や重大な物損事故の場合、警察への通報が義務となります。
    軽微な物損事故の場合、現場で適切に情報交換が行われ、交通の安全に支障がなければ、必ずしも警察への通報義務はないとされています。ただし、相手が情報交換を拒否する場合又は逃走するおそれがある場合、若しくは交通違反が疑われる場合は、通報する必要があります。また、言語の壁や事故後の対応に不安がある場合も、後のトラブルを避けるために警察に通報し、事故の正式な記録を残すことを推奨します。

  9. 証拠保全
  10. 警察に通報する場合、警察が到着するまで車両を動かさず、事故の証拠や痕跡が失われないようにします。ただし、高速道路や交通量の多い場所等で二次事故の危険性が高い場合は、車両を安全な場所に移動させることが求められます。
    事故現場の状況(車両の損傷、道路状況、交通標識等)を写真や動画で記録し、目撃者がいる場合は連絡先を控えておきます。

  11. 必要な情報の交換
  12. 交通事故の当事者間での情報交換が法的に義務付けられています。言語に不安があっても、情報交換を拒否したり一方的に事故現場を離れたりすることはせず、言語サポートや翻訳アプリを活用し、可能な限り情報交換を行います。その際、車両の登録証、保険証書、身分証等を直接確認してください。一般的に必要とされる情報は以下のとおりですが、詳細については契約している保険会社の案内に従ってください。
    • 当事者の基本情報
      氏名、住所、電話番号(身分証で確認)
      免許証番号、発行官庁、発行年月日(免許証で確認)
    • 車両の情報
      車種、メーカー、ナンバー
      所有者名、住所、電話番号(車両の登録証で確認)
    • 保険の情報
      会社名、支店番号、保険証書番号、有効期限(保険証書で確認)
  13. 事故報告書の作成
  14. イタリアでは「Modulo CAI (CID)」という事故報告書を車内に常備しておくことが一般的で、軽微な物損事故の場合、当事者間でこの報告書を作成し、保険請求に使用します。署名すると内容に合意したとみなされるため、慎重に確認する必要があります。内容に不安がある場合や理解できない場合は、「保険会社に確認したい」等と伝えて署名を保留することも可能です。また、相手との意見が一致しない場合や正確な情報が得られない場合は、警察を呼び公的な記録を残すことをお勧めします。

  15. 保険会社への連絡
  16. 事故現場から保険会社に連絡し、事故の詳細を正確に伝えます。保険会社からは、必要な情報や書類作成等の手続きについて案内を受けることができます。また、言語のサポートを受けられる場合もあります。